猫の湯~きみと離れていなければ~
倫とわたしたちが連れてこられたのは、やっぱり龍宮城だった。
裏門から入り、離れの部屋にいれられた。
こんなけばけばしいネオンだらけの施設らしく、その部屋の中も豪華だった。
吊り下げられている大きなシャンデリアにはろうそくが灯り、床はふかふかの赤い絨毯。壁にはいろんな動物の剥製や絵画がかざられている。
趣味の悪いお金持ちの客間って感じ。
3匹はわたしたちを取り囲み逃げられないように見張っている。
「す、鈴さんに酷いことしたら、ボク、許さないにゃっ」
わたしの背中にしがみつきプルプルと恐怖にふるえる倫。
耳は垂れ下がり、しっぽもどこにあるのか分からないぐらいお腹に巻き込んでいる。
こんなに怖がっているのに、助けようとしてくれたことに感謝と愛しさを感じる。
「これから虎兄貴が来られるにゃ」
「おまえら変な真似したら猫パンチにゃ」
「そーにゃそーにゃ」
にゃあにゃあうるさい。
けれどやっぱり猫は猫。
まったく怖くはないかな。