猫の湯~きみと離れていなければ~
「あんなに寄ってたかって襲ってくるってどーゆーことよ? 他のカラスたちもここの従業員なわけ? 」
「あれは命令されたにゃー」
「他のカラスは雇った本物のカラスにゃー」
「カァー」
しらばっくれるかと思ったのに、あっさりと認めた2匹と1羽。
「誰に命令されたって言うの? とにかくあやまって」
「…… 」
「…… 」
「…… 」
2匹と1羽はお互いに顔を見合わせてどうしようかと考えているみたい。
まぁ、ネットに関しては全てがこの猫たちのせいではないから、言わずにおいた。
だからと言って、だんまりを許すつもりはない。
「あやまって! 」
語尾を強くすると2匹と1羽はペコリと顔をさげた。
「ごめんなさいにゃ」
「すみませんにゃ」
「カァー」
拍子抜けするほどに素直にあやまってくれた。
これじゃあもう強く怒る気にはならない。
「もうあんなことしちゃダメよ? いい? 」
「はいですにゃ」
「わかったにゃ」
「カァー」
なんだ、けっこういい子たちじゃない。
わたしは2匹と1羽の頭を撫でた。
「じゃあ、これでこのお話はおしまいね」
それでも倫は、わたしの背中に掴まったままシャーっと威嚇しているけれど。