猫の湯~きみと離れていなければ~
「だからあんなにお客を招き入れて、龍宮城の名前を広めているのね」
「そうだ。こいつらには片っ端から人間を引き込めと言ってある」
気を抜いていたブラックシャークは突然に呼ばれて、慌てて正座をしなおした。
ちなみに倫はというと、長い話に飽きしまったのか、緊張がとけたのか、わたしの膝の上でゆったりとまどろんでいる。
「それで乙姫さまはどうしているの?」
「親の死に目にも間に合わず、そして一人にさせてしまったのは自分のせいだと、ご自分を責めてずっと塞ぎこんでおられる。そして太郎が戻ってはこないのは自分を恨んでいるからだと思い込まれてな」
「そんなわけないじゃない。愛しあって結婚の約束までしていたのに」
「では何故じゃ?…何故に太郎はわらわの元に帰っては来ぬのじゃ?」
背後から美しい声がすると、虎とブラックシャークはサッと立ち上がった。