猫の湯~きみと離れていなければ~

乙姫は動揺したようで、虎とブラックシャークを交互に見たけれど、ブラックシャークは視線をあえてそらし、虎はわたしを呪うかのように睨んでいる。


乙姫さまのためとやっていることが逆効果なんて言われたら、それは怒りたくなるよね。


「これは全部わたしの推測ですから」


もう一度、今度は虎も込みで念をおしてみた。
なんとかフォローもしないと…


「でも彼らがあなたを何よりも大切に想っているのは本当のこと。そのやり方が間違っていたり強引だったとしても全てはあなたに笑顔になってほしいからだと思います」


うんうんと大きくうなずく4匹とじっと何かを考えはじめた乙姫。



「つらい気持ちは少しは分かるけど、でもあなたの大切な家族たちの気持ちにも気づいてあげてほしい。閉じこもっているだけじゃ何も変わりはしないんだから」


猫ちゃんのとき、そして学校のこと。
打ち明けなかったわたしは、パパとママをどれだけ心配させて心を痛めさせてしまったんだろう。


「太郎さんに会いたいのなら、気持ちを伝えたいのなら自分から動くべきです。だめならだめで仕方ないじゃない、次に進まなきゃ」


って、自分じゃできもしないことなのに。
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