猫の湯~きみと離れていなければ~
外はもう太陽が頂点より少し傾きはじめていた。
町の中は、午前中よりも猫とあの世の人たちが増えているし、商売を始めている出店もちらほらしていた。
わたしは猫の湯に向かいながら辺りをキョロキョロしていると、遇があきれたように笑っている。
「そんなに珍しいのかい? 鈴の世界にも祭りはあるだろう? 食事のあと少し休んだら一緒に行こうかねぇ」
「いいの? わたし行ってみたかったの」
わたしはできるだけうれしさを出すように笑ってみた。
お祭りに行けるのは本当に楽しみ。
でも今のは違う。
わたしは『猫ちゃん』を探していたの。