猫の湯~きみと離れていなければ~
「そんなに食べたら長さんみたいになるにゃん」
宮はあきれたように倫にラムネを渡すと側にちょこんと腰かけた。
その言葉がわたしにもサクッと突き刺さったのを、宮は気づいているのかいないのか…
「それにしても、猫ちゃんは一体どこに隠れているにゃん」
「子猫なら金魚すくいに現れると思ってたのににゃー」
残念そうにする2匹の言葉に驚いてしまった。
「もしかして、探してくれていたの? 」
「だって鈴さんはキョロキョロしてばかりで、心ここにあらずだったにゃん」
「早くみつけて一緒にお祭りを楽しませてあげたいにゃ。今度は参拝ついでに神社の中を捜索にゃ」
気にかけてくれている宮と、意気込む倫。
わたしのために探していてくれたことに感謝で胸がつまりそうになる。
「ありがとう。でも、これだけ探していないんだからきっとわたしの見間違えだったんだよ。休憩が終わったら気にせずに楽しもうね 」
せっかくのお祭り。
わたしのためでなく宮と倫には楽しんでほしい。
ただでさえわたしはデートにくっついてきているんだから、これ以上は心苦しくなってしまうし。