猫の湯~きみと離れていなければ~


「そういえばここって、さっきの鳳凰さまがいる神社だよね」


わたしは話をかえながら、たくさんの猫や観光客が参拝へと向かう長く急な階段の先をみつめた。

この位置からでは本殿は見えないけれど、階段の上には松明がたくさん並んでいるようで、明々と辺りを照らしている。


「鳳凰さまってどんな方なの? 」

「猫町を見守ってくださっている優しい神獣さまたちにゃん」
「そうにゃ。猫の湯のお湯は鳳凰さまのご加護をうけているから効能がばっちりにゃ」


ああそうか。この町にきたとき、倫が丁寧に磨いていた屋根の上の黄金の像って、鳳凰さまの像だったんだ。


「ご加護のない普通のお湯の龍宮城とかは娯楽施設を整えてお客を呼んでるにゃん」

「それが大当りしたもんだから、…女将が改装をはじめたにゃ」


2匹はげんなりとした顔をして肩を落とした。

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