猫の湯~きみと離れていなければ~
猫の湯に戻ってからは少しバタバタした。
頼んでいたりんご飴を買い忘れていた倫に襲いかかる仁と、悲鳴をあげる倫から仁をはがそうとする宮。
遇は「猫玉を譲っておくれ」と今度は泣きついてきて、そんなわたしに副会長は「無視して早く湯に入れ」と牙をむきながら催促してくる。
もちろん副会長のそんな態度は気に入らないから、わたしは両手を使ってお腹をナデナデしてあげた。
すると一瞬で猫の湯は静まりかえってしまった。
結局、威厳をなくした副会長によって強制的に浴場に放り込まれると、恥ずかしがるわたしの意志なんておかまいなしに遇と宮に、頭の先から足の先まで丹念に洗われてしまった。
そこで宮は遇から、今からわたしが鳳凰さまと面会すると聞かされ、驚いて数秒間固まっていた。