猫の湯~きみと離れていなければ~
「鈴さん、その子たちってもしかして?! 」
「そうそう。こっちが金でこっちが銀だよ」
裾を引っ張っている金と、抱っこをねだってくる銀を抱き上げて、宮に紹介をした。
あんぐりと口を開けた宮は何かを言いたいのだろうけど、声にならないみたい。
そんな宮を見て、金と銀はきゃっきゃっと笑いはじめた。
「夜のごはんを食べてないの?」
「おにぎりのだけたべたのー」
「またおにぎりたべるのー」
おにぎりのって、鯛だけたべたってことよね。
そっか。
やっぱり倫の思っている通りだったんだ。
「宮ちゃん、夕飯の鯛めしってまだあまってる? 倫にそれでおにぎり作ってほしいんだけど頼めないかな? 」
「は、は、はいにゃん! すぐに伝えるにゃんっ」
大慌てで走っていく宮の姿がおもしろいらしく、金と銀はまた楽しそうに笑いはじめた。