猫の湯~きみと離れていなければ~

「それより、鈴」


副会長が神棚から猫玉を下げるとわたしに手渡してきた。


「気づいていたの? 」
「予感はしていたが、今の答えで確信に変わっただけだ」


わたしはうんとうなずくと、猫玉を金と銀に返した。


大笑いしていた遇はみるみる顔面蒼白になって『なんてことをするんだい』と声にならない声でその場に崩れてしまった。


「遇さん、これはわたしが頂いたものではないんです。…金、銀。自分でちゃんとお礼を言おうね」


「いいよー」
「あげるー」


2匹は元気よく返事をすると倫に猫玉を差し出した。


「おにぎりありがとー」
「おいしかったー」


「…ボクにくれるのにゃ?! 」


意味も分からずに受け取った倫。

目をまんまるにして驚いている倫は副会長とわたしを何度も交互に見てくる。
もちろんしっぽはどんどん膨らみはじめた。


「倫、お前の鯛めしがよっぽどお気に召されたらしいな」


副会長は感心したようにうなずいている。

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