猫の湯~きみと離れていなければ~

さすがに参拝客もこちら側には興味はないらしく誰もいない。
松明もなく、月明かりと副会長のカギしっぽを頼りに進むと、本殿の裏を通りすぎ右側にあったご神木の裏へと回った。


「ついたぞ」

「…へ? 」


これなら正面からすぐに右に行けばいいだけなのに。
なんでわざわざ遠回りしたんだろう


「向こうからでは入口にたどり着けないように術をかけてある」


質問をする前に副会長が答えてくれた。

でも『術』…とか意味が分からない。


もっと分からないのはここで何をするのかと言うこと。
凰さまと呼ばれる鳳凰に会いに来たはずなのに。

もしかして鳥だからご神木にとまっているとか?
と思って楠を見上げてみても何もいない。

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