猫の湯~きみと離れていなければ~
倫に続いて寄ってきた宮はすでに目に涙を浮かべている。
そんな宮を見て、わたしも涙がにじみはじめ、でもなんだかおかしくなってきて、わたしたちは泣きながら笑いあった。
「あんたたちは変な子だねぇ。泣くか笑うかどっちかにしな」
呆れながらそう言う遇は、目頭を袖で押さえている。
わたしは今度は宮を抱きしめた。
「お祭り楽しかったね」
「来年も倫と一緒に行こうにゃん」
「…来年も、」
わたしはこの約束をしてもいいのか戸惑ってしまった。
ここには自力で来ることはできないから。
もしかしたらもう2度と…。
猫の湯のみんなとはいい加減な社交辞令は交わしたくないから。
副会長をちらっと…、ううん、目力をこめてじっと見ると、副会長は少し面倒くさそうな顔をして目を伏せたけれど、深くうなずいてくれた。
それを見たわたしと宮はもう一度抱きしめてあって、再会の約束を交わした。
「今度は桜色の浴衣を用意しておくにゃん」
「うんっ! もちろんお揃いにしてね」