猫の湯~きみと離れていなければ~

倫に続いて寄ってきた宮はすでに目に涙を浮かべている。
そんな宮を見て、わたしも涙がにじみはじめ、でもなんだかおかしくなってきて、わたしたちは泣きながら笑いあった。


「あんたたちは変な子だねぇ。泣くか笑うかどっちかにしな」

呆れながらそう言う遇は、目頭を袖で押さえている。



わたしは今度は宮を抱きしめた。


「お祭り楽しかったね」

「来年も倫と一緒に行こうにゃん」

「…来年も、」


わたしはこの約束をしてもいいのか戸惑ってしまった。
ここには自力で来ることはできないから。
もしかしたらもう2度と…。

猫の湯のみんなとはいい加減な社交辞令は交わしたくないから。

副会長をちらっと…、ううん、目力をこめてじっと見ると、副会長は少し面倒くさそうな顔をして目を伏せたけれど、深くうなずいてくれた。


それを見たわたしと宮はもう一度抱きしめてあって、再会の約束を交わした。


「今度は桜色の浴衣を用意しておくにゃん」

「うんっ! もちろんお揃いにしてね」


< 285 / 328 >

この作品をシェア

pagetop