猫の湯~きみと離れていなければ~
目をあけるとわたしの部屋の、ベットの上だった。
本当にあっという間に戻ってきちゃった。
涙だってまだ全然止まっていないのに。
しっぽを握った瞬間、遇がわたしの名前を叫んだのが聞こえた。
そんなことされたら余計に寂しくなるじゃない。
「長さん?」
寝たまま部屋の中を見渡しても副会長の姿はどこにもいない。
なんだか急に寂しくなってくる。
わたしはベットから起き上がるとまずは足元をみた。
体に戻っているから銀色の糸は生えていないし、鏡を覗いても顔にはかすり傷1つ残っていない。
鳳凰さまのご利益って本物なんだと改めて驚かされた。
信じていなかったわけじゃないけど、
でも夢じゃなかった。
向こうはもう何時になったんだろう。
みんなちゃんと眠れたか心配になってくる。
今日から猫の湯は待望の大繁盛だね。
わたしもここで頑張るからね。