猫の湯~きみと離れていなければ~
「なんだよ長さん! 鈴にめっちゃなついてんじゃん」
今度は陽向が大袈裟な声をだした。
すると陽向につられて他のクラスメイトも次々に話はじめた。
「副会長が甘えているのが何よりの証拠じゃん」
「だから違うんじゃないかって言ったのにー」
「たくさん羽が落ちてたから、カラスを追い払ったんだろうって先輩たちは言ってたもん」
「真実を曲げてアップするなんて酷い話だよ。さっさと削除したら? 」
……うそでしょ?みんなが信じてくれた?
『俺が一肌脱げば簡単に解決する』
……まさかこのこと?
美穂と久美子は居づらくなったようで、悔しそうな顔をしながら教室から出ていき、今日は戻ってくることはなかった。
「長さんやるじゃない。ありがとうね」
わたしがお礼を伝えると、仕事をやり遂げた副会長は恍惚の表情のままひげをピクピクと動かして、机から降りようとした。