猫の湯~きみと離れていなければ~

山城 莉子(やましろ りこ)は小学校の同級生。

目が大きくてお人形のように可愛い女の子で、4年生のときは同じクラスだった。

その頃からすでに子供モデルや子役をしていて、そして今は女優として芸能活動をしている。

最近は映画やバラエティー番組にも出るようになってきて、テレビで何度か目にしたことはあるけれど、わたしはすぐに別のチャンネルに変えてしまっていた。



引っ越した頃は何度か文通もしていたけど


『陽向くんに告白しようと思ってるの』


莉子からこの手紙が届いたとき、初めて自分の気持ちに気がついた。



誰かが陽向を好きなるとか、陽向が誰かを好きなるってことを考えたこと、いや思いついたことさえなかった。


陽向とは物心つく前からずっと仲良しで。


いつも一緒にいることが、それがあまりにも当たり前すぎていたから。
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