猫の湯~きみと離れていなければ~
確かに地味だし社交的ではない性格なのはわかってる。
でも、初対面でそんなことを言われる理由はない。
感じが悪くてムカッとしてきた。
でもわたしは何も言い返えさずに黙ってうつむいたままでいた。
平和主義と言えば少しは聞こえがいいかもしれないけれど、波風を立てるのも嵐に巻き込まれるのも苦手な小心者だから。
我慢すればいいだけ。
そのうち飽きて、どこかに行ってくれるはず。
でも勇気があれば
「あんた達のその言い方は何なのよ? 鈴の何を知っててそういう言い方をするわけ? 」
そう、そうやって言い返してみたい。
って、……え?
今のわたしの心の声じゃないよね?
――ガタンッ!
隣のイスが勢いよく大きな音をたてた。
その音に、離れかけていた視線がまた一斉に集まり、そしてクラス中が静まりかえった。