猫の湯~きみと離れていなければ~

初対面のわたしなんかを庇ってくれる祥子の行動はとても嬉しいし、やっぱり勇気のある人なんだと思う。

けれどもいざこざは苦手だから、避けられるものであればできる限り避けていたい。


わたしが祥子を止めようと祥子の腕を握ったときだった。


「ちょっと落ち着こうぜ? あなたも座って座って」


陽向が間に入り、祥子の肩をやさしく叩いて席につかせた。


そして、美穂と久美子に聞こえないように『ありがとな』と声を出さずに口パクでお礼を言っていた。


うなずいた祥子だったけど、でも納得のいっていない顔をしている。
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