猫の湯~きみと離れていなければ~

「式の前に出席とるぞー、みんな席につくよーに」



ガラガラっと扉を開けて、名簿を片手に持った担任の先生が入ってきた。


白髪頭でメガネをかけていて、思わず“おじいちゃん”と呼んでしまいたくなるような穏やかな顔をしている。

着ている毛糸のベストがよく似合っていて、きっと家族の誰かの手編みなんだろうなと思えた。


先生は今の騒ぎには気づいていないみたいで、自分が入ってきたから教室が静まりかえっていると思っているようで、『今年の1年生は感心、感心』と誇らしげに言葉を繰り返している。
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