猫の湯~きみと離れていなければ~

陽向の呼び声に気がついた副会長は、ぴたっと足を止めるとこちらを向いた。


相変わらずの不気味な金色の目をしている。


ここにいる誰もが、副会長は陽向に視線を向けていると思っているだろうけど。



……違う



理由は分からないけど、

あの黒猫は間違いなくわたしを見ている。


その視線にまた体中が汗ばんできて、わたしは視線をそらした。

猫に負けた気がしておもしろくはないけど、やっぱり見るだけでも怖い。


本当にあの黒猫は一体なんなのよ。


また何か縁起でもないことが起こるの?



猫に関わるといつもそう。


良いことが起こったためしがない。



だから猫って大っ嫌いなのよ。
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