猫の湯~きみと離れていなければ~
「へ? もしかしてお前らも全然会ってなかったのか?」
「そうよ。鈴ったらお手紙くれなくなったんだもん」
莉子は唇をとがらせると甘えるように陽向に顔を向けた。
陽向はそんな莉子に微笑み返している。
触れられたくない話に、そして仲の良い2人の姿に胸が締めつけられていく。
「ごめんなさい。…手紙出しそびれたら、それから出しにくく感じちゃったから」
精一杯、普通を装って声を出した。
なんで考えつかなかったんだろう。
付き合ってる2人が同じ学校を選ぶことぐらい、簡単に予想できるのに。
「私もまたお手紙出せばよかったんだけどね。でもまた会えて本当に嬉しい」
どうしよう。
言葉が何も浮かばない。