猫の湯~きみと離れていなければ~
モールは高校も近いこともあってか同じ制服の生徒が多くみられた。
「おい莉子、どっか店に入る? フードコート避けた方がいいんじゃね? 」
「どこに行っても同じだから気にしないで。席、とっておくからいつものをお持ち帰りでよろしくね 」
「了解っす! 鈴は莉子と座ってろな」
『いつもの』…か。
陽向と莉子のなにげない言葉や仕草が、切なさとおいてけぼり感をあおってきて、ますます居心地が悪くなっていく。
2人は付き合っているし、ずっと同じ時間を過ごしてきてる。
だからこれは当然のこと。
仕方がないこと。
自分にそう言い聞かすしかなかった。
「あそこ空いたから、行こう」
おいでおいでと手招きする莉子の後に続き、窓際の4人がけの席に行くと莉子と向かい合って座った。