猫の湯~きみと離れていなければ~
「にゃにゃ~ん」
副会長は容姿には似合っていない可愛いらしい声を出すと、陽向の足にまとわりついた。
しっぽを絡めながら頬をすりつける副会長を、陽向はしゃがんで撫でまくっている。
「ほら、怖くないだろ? 噛んだりしないから触ってみろって」
「絶対にいやっ、こっちに来させないで」
言葉が分かっているのか陽向の撫でかたが上手すぎるのか、ゴロゴロ~と喉を鳴らす副会長は、決してわたしには近寄っては来なかった。
そこだけはほめてあげたい。
撫でられることに満足したのか、のっしのっしとまた見回りに戻っていく副会長。
その時、横目でわたしを見ていたのは間違いない。