猫の湯~きみと離れていなければ~
でもやっぱり好きなものを汚いなんて言われるのは、いい気がしないよね。
「ごめんなさい…」
わたしはきちんと頭を下げて謝った。
「いや、俺の方こそごめんな。俺、猫バカだからさぁ、猫の魅力を鈴に分かって欲しくて無理に押しつけようとしてたよな…」
そして長い沈黙がおとずれた。
気まずい。
もう帰りたい。
「陽向、もうここでいいよ。陽向の家、反対方向だし遠いから」
「ダーメ。絶対に送るから、…帰ろう? 」
先に歩きはじめた陽向にわたしは一歩下がってついていった。
そして家に着くまで、わたしたちは一言も話さなかった。