猫の湯~きみと離れていなければ~
あくびまじりのため息を吐くと寝不足でだるい体をベットから起こした。
そしてハンガーにかかっている制服に手を伸ばした。
あ、昨日と同じ光景。
昨日は陽向に会いたくなくて、時間稼ぎのために着替えを渋っていたのに。
でも今のわたしは陽向が待ってるから急がないとって思ってる?
ああ、もうっ! わたしはどうしたいわけ?
この気持ちを早く消してしまわないといけないって分かっているでしょ?
揺れ動く自分にイライラしてくる。
カーテンを開けると、朝日が差し込むこの時間はすでに動きはじめていた。
行き交う車や自転車、ジョギングしている人にバス停に並ぶスーツ姿の人たち。
仕事とか学校とか、きっとほとんどの人たちが昨日と変わらないスケジュールなんだと思う。
天気も昨日と同じように晴れ渡り、桜の花も満開に咲いている。
だけど、いったいどれだけの人が昨日と同じ気持ちでいるんだろうって考えてしまう。