無自覚天然タラシボーイ高宮さん
仲良くなったのは俺の誕生日からだ。
それまで社員同士のシフトで
同じ時間帯に被ることはあっても
必要最低限の会話しかせず
事務作業している時は無言が多かった。
だけど誕生日の時誰から聞いたのか
わからないけど片瀬さんは
手作りケーキ弁当を作ってきてくれた。
『高宮さん、誕生日おめでとうございます。手作りとか重い、無理とか言わずどうぞ。』
『いや無理とかないけど。』
その不器用な言葉に思わず
笑って泣きそうになった。
『なんでお弁当…』
『ケーキ弁当です。一応。』
『いや見た目でわかるけど。なんでそっち?』
普通はケーキじゃないのか?
『高宮さんは彼女さんいらっしゃいますしケーキは彼女さんと食べるかと思ったので。ケーキは被るとしんどいかなと。一人暮らしですしたまにはこういうのもアリかなと勝手に判断して作ってみました。』
なんだろう。この子。
初めてのタイプで返す言葉が見つからない。