感染学校~死のウイルス~
「どうしよう……」


そう呟いた時だった、マットの上で寝転んでいたアラタ先輩が勢いよく起き上がり、そのまま体育館の出入り口へと大股に進んでいくのが見えた。


その手には武器などはなにも持たれていない。


「せ、先輩、危ないですよ!」


アラタ先輩に声をかけるのは少し怖ったけれど、あたしはそう言った。


アラタ先輩が振り返り、冷たい目であたしを見る。


その目に睨まれているような感覚になり、思わず後ずさりをした。


「そうだぞ。1人で動き回るのは危険だ」


祐矢先輩が助け舟を出してくれてホッと胸をなで下ろす。


しかし、自分たちの間に祐矢先輩が入って来たことで、アラタ先輩は余計に険しい表情になった。


「悲鳴が聞こえたのに無視かよ」


アラタ先輩は祐矢先輩へ向けてそう言った。


「別に無理をするとは言ってないだろう。1人での行動はやめろと言ってるんだ」


そう言いながら祐矢先輩はアラタ先輩へと近づいていく。


だけど、2人とも武器を持っていない。


あたしは空音を見た。


空音はスタンガンを持っているはずだ。


「空音、あたしたちもついて行こう」
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