感染学校~死のウイルス~
逃走
福田先生の死体が見つかってから1時間ほどが経過していた。


先生たちは体育館に戻ってきていて、ガラスの割れる音の正体はわからないままだと言った。


音の正体を探している最中に福田先生が殺されてしまったんだから、仕方のないことだった。


もしかしたら、福田先生を襲った生徒が音を立てたのかもしれない。


誰かを殺したいがために、わざと大きな音を立てておびき寄せた可能性があった。


あたしはそう思い、まだ目を覚まさない男子生徒へ視線を向けた。


起きた時、この生徒は自分がしてしまった事を覚えているのだろうか?


自分が人を殺してしまったという事実を受けいれる事はできるのだろうか?


そんな疑問が浮かんでくる。


ウイルスのせいだとしても、自分の手で人を殺した重圧に耐えられるかどうか、あたしにはわからなかった。


先生も生徒も疲れ切った顔をしている。


もうとっくに5月13日になっているのに、その感覚もない。
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