感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

渋田さんのクラスは全員明日の葬儀に参加するそうだ。


その他にも、渋田さんが特別仲が良かった子たちが呼ばれていた。


他の生徒たちは通常授業だ。


今日も2時限目からは通常授業に戻っていたけれど、みんな落ち込んでしまって各科目の先生たちもいつもより静かだった。


みんな授業内容が耳に入ってきていないのが、見ていてもわかった。


あたしと空音も、時々ペンを動かしてノートを取るものの教科書に視線をやっても記号が並んでいるようにしか見えなかった。


心の中にぽっかりと穴が開いてしまったような感覚。


それほど頻繁に会話していたわけでもない渋田さんの存在は、思ったよりも大きかったようだ。


そして、放課後。


「なんか、あっという間に放課後だね」


空音が時計を見てそう言った。


「そうだね。なんか、まだ信じられなくてボーっとしてるもん」


あたしは鞄に教科書をつめながらそう言った。


昼休憩を挟んでからの教室は少しだけいつもの調子を取り戻していたけれど、それでもやっぱり違う雰囲気を持っていた。
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