感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

体育館の外へ出ると、途端に空気が重たくなったような気がした。


体育館の中にいれば安全。


そんな状況だから、一歩噴き出すと途端に不安になって行く。


思わず歩調が重たくなっていき、空音が不安そうな表情を浮かべた。


「愛莉、大丈夫?」


「大丈夫だよ。何も武器がないから、ちょっと不安になってるだけ」


あたしはできるだけ明るい口調でそう言った。


杉崎高校の購買は本館1階にある。


生徒玄関のすぐ横だ。


あたしと空音は2階まで下りて渡り廊下へと差し掛かっていた。


校内はとても静かで、あたしたち以外にどこに生き残りがいるのかわからない。


なにも知らなければ平穏が校舎に見えただろう。


「校長は逃げるだけ逃げて誰にも伝えてないのかな」


歩きながら空音がそう言った。


「たぶん、そうだろうね。外へ出て誰かに連絡していれば、助けが来るはずだもん」


「そうだよね……」


そう言いながらも、空音はどこか納得できないような表情を浮かべている。


「じゃぁさ、田井先生が誘導して外へ出た生徒たちは?」
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