感染学校~死のウイルス~
空音の言葉にあたしは「え?」と、目を見開いた。


「生徒たちは被害者でしょ? それなら誰かに通報するとか、相談するとか、できるんじゃない?」


「それは……そうだよね……」


空音に言われて初めて違和感を抱いた。


本当にその通りだ。


明らかな異変を感じて校内が閉鎖状態なら、誰かが通報してくれてもよさそうだ。


「そ、それなら、今頃外で助けが来てるんじゃないかな?」


渡り廊下を渡り切り、1階へ向かう階段を目指す。


相変わらず校内は静かだ。


「外で音がすればさすがにわかるよ……」


空音が俯いてそう言った。


校舎は防音になっているわけではない。


外からの音はいつも聞こえてきていた。


それが、今は静かだ。


誰も助けになんて来てくれていない。


それ所か、誰も通報してくれていない可能性もある。
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