感染学校~死のウイルス~
「これ、サンキュな」


そんな声が聞こえてきて振りむくと、辻本先生が空音にスタンガンを返している所だった。


その手にはやっぱり血がこびりついている。


金槌に血。


あたしは食堂で見た女子生徒の死体を思い出していた。


釘を打ちつけられ、刃物で殺されていた女子生徒。


生徒玄関には血の手形がいくつもついていた。


あたしはまた辻本先生の手元へと視線をうつした。


まさか、そんな。


そんなことあるはずがないと言う思いと、そうかもしれないという思いがあたしの胸の襲い掛かる。


「本当に、外は大丈夫だったんですか?」


あたしは、もう1度アラタ先輩と祐矢先輩にそう聞いた。


「なんだよ、しつこいな」


アラタ先輩はイライラした様子でそう言い、そっぽを向いてしまった。
< 133 / 284 >

この作品をシェア

pagetop