感染学校~死のウイルス~
体育館にいる生徒たちはみんな一様にグッタリとした表情を浮かべていた。


数時間前に食料を奪いあったため、精神的に追い詰められているのかもしれない。


そうなったのも、自分たちが理性を失ってしまったのが原因だ。


その中でも一際目立っていたのは、福田先生を殺したあの生徒だった。


長い時間気絶していたけれど、少し前に目が覚めていた。


田井先生から水を貰って飲んでいたが、その顔色は青ざめたまま変わらない。


目の色は黒く、周囲を攻撃するような素振りは見せないから、きっとウイルスは消えたのだろう。


だけど、彼は時々思い出したように強く身震いをして、自分の体を抱きしめた。


自分がウイルスに感染していた時の記憶をしっかりと持っているのかもしれない。


誰も、彼に話かけようとはしなかった。


それ所か、まるで汚いものを見るような目で彼を見る。


時々聞こえて来る話声は彼へ対する罵倒も含まれていた。
< 137 / 284 >

この作品をシェア

pagetop