感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

家とは逆方向へと歩いていると、駅が見えて来た。


最近駅の中にできたコーヒーショップを思い出す。


「どうする? 駅に行く?」


そう聞くと、空音は「そうだね」と、頷いた。


特にどこへ行きたいと言う予定はないようで、ただ1人なりたくないだけのようだ。


あたしと空音は自然と新しくできたコーヒーショップへと足を運んでいた。


4時半という中途半端な時間なのに、店内は混雑していた。


新しくできたお店というだけで、みんな好奇心を持って一度は来て見たくなるものだ。


どうにかカウンター席に座ると、お店で一番人気のブレンドコーヒーを注文した。


こうして2人でコーヒーを飲んでいると、なんだか少しだけ自分が大人になったような気持ちになった。


「やっぱりここのコーヒーは美味しいね」


空音がコーヒーを飲んでホッとしたようにほほ笑んでそう言った。


「そうだね」


あたしはそう返事をする。


正直、コーヒーの味の違いまではイマイチ理解できていなかった。


けれど缶コーヒーも美味しいとおもうし、ここのコーヒーも美味しいと感じるから、嘘ではない。
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