感染学校~死のウイルス~
「大丈夫。きっとみんなで帰ることができる」


自分に言い聞かせるように呟くと、その声は本館1階の廊下に大きく響いた。


そして目の前に現れる、保健室。


思えばここから始まったんだ。


放課後ここへ来ると騒然とする景色が広がっていた。


糞尿にまみれたベッド。


千切られたロープ。


所々に飛び散った血痕。


そして、ベッドに下に身を隠していた森本先生。


思い出して、あたしは保健室の前で立ちどまった。


そっとドアに耳を近づけ、中の様子を伺った。


物音はしない。


だけど、ここには文芸部の10人の死体が転がったままだ。


保健室の外にまで、その血生臭い匂いは漂ってきている。
< 147 / 284 >

この作品をシェア

pagetop