感染学校~死のウイルス~
その手には金槌が握られていて、金槌の柄の部分が赤く染まっているのがわかった。


あたしは小さく悲鳴を上げて四つん這いになって保健室の中を逃げた。


涙が滲み保健室の中が歪んで見える。


「これが薬か」


辻本先生がそう言い、紙袋を手に取った。


「やめて!!」


あたしは咄嗟に叫んでいた。


「は? なにを言ってるんだ」


「それを持って行かないで! 田村先輩を助けるんだから!!」


泣きながら叫ぶ。


自分でも情けなくなるくらい、顔を歪めた。


「わかってる。そのためにここまで来たんだろ」


アラタ先輩がそう返事をした。


「し……信用できない」


グッと涙を押し込めてあたしは言った。


「なんだよ、それ」


アラタ先輩は顔をしかめてあたしを見る。
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