感染学校~死のウイルス~
「この生徒は感染していた女子生徒に追われていた」


辻本先生が静かにそう言った。


あたしは食堂で見た女子生徒の死体を思い出し、胸の奥が苦しくなった。


男子生徒の死体へ視線を向けると、その手は真っ赤に染まっていることがわかった。


生徒玄関のシャッターが血の手形で汚れていたことを思い出す。


「だけどこの男は……」


そこまで言い、辻本先生は言葉を切った。


ジッと男子生徒の死体を睨み付けている。


「え……まさか……」


思わずそう口走っていた。


アラタ先輩が驚いたようにあたしを見る。


「お前、なにか知っているのか?」


そうきかれて咄嗟に左右に首をふる。


でも、ここで嘘はつけなかった。


「ごめんなさい……みんなが体育館の非常食を奪い合っている時に、あたしと空音は食堂にいたの。


食堂ならきっと沢山食べ物がある。奪い合う必要なんてないって……」


そして、そこで女子生徒の死体を見つけた。


「そうだったのか」


辻本先生は驚いたように目を見開いてそう言った。
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