感染学校~死のウイルス~
それはオシャレなコーヒー店ではあまり似合わない光景で、あたしと空音はコーヒーを飲み終えるとすぐにお店を出た。


店の雰囲気を察したと言うよりは、新曲の発売が待ち遠しすぎてCDショップへ向かおうと言う話になったのだ。


もちろん、アイドルの新曲はまだ出ていない。


それでも、新曲発売が近いからお店ではアイドルのコーナーが作られているかもしれなかった。


「次のシングルもオリコン1位だったらギネス更新なんだよね?」


空音が聞いてくるのであたしは「そうだよ。今まで出してきてシングルもアルバムも初登場1位だもんね」と、即答した。


アイドルは日本で人気が高いけれど、彼らほどの人気を誇っているアイドルはなかなかいない。


CDデビューから5年経っているが、その人気に衰えの影は見られなかった。


駅の中にあるCDショップへと足を進めている時、柱にもたれるようにして座り込んでいる生徒を見つけた。


あたしたちと同じ杉崎高校の制服を着ているおさげ髪の女の子だ。


見るからに顔色が悪く、立ち上がる事すら困難な様子だ。


同じ制服を着ている生徒ということで、あたしと空音は自然と歩調を緩めてその様子を見ていた。
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