感染学校～死のウイルス～
「俺は嫌だったんだ！！　あんなことしたくなかったんだ！！」


「なに、どういう事？」


森本先生が眉をよせた。


「まるで体を乗っ取られてる感覚だった。体調が悪くて学校も来るつもりじゃなかったのに、体が勝手に動いてここまできたんだ！！」


その言葉にあたしは目を見開いた。


ウイルスに感染すると体の自由もきかない。


だから体調不良を訴えながらも、みんな学校へ来ていたんだ！


「もしかして、ウイルスが人が沢山集まる場所に誘導してるんじゃ……？」


森本先生がそう言うのが聞こえてきて、背筋が寒くなった。


人が沢山いる場所に誘導する。


今この学校内でいえば、体育館の人口密度はどのくらいになっているんだろうか？


このグループよりも大きなグループがどこかに隠れていれば、感染者はそっちへ引き寄せられるだろう。


だけどそのグループが壊滅すれば、いつかは感染者はここへ来ると言うことだ。


それがいつになるかわからないけれど、必ずここに来ると言うことだ。


男子生徒は辻本先生の体を押しのけると、体育館のドアへ向かって走り出した。


「おい、外は危険だ！」


辻本先生の言葉を聞かず、生徒は体育館のドアを開ける。


その姿が見えなくなった次の瞬間、ガラスの割れる音が聞こえて来た。
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