感染学校~死のウイルス~
それは前回と同じような音で、あたしはハッとして立ち上がった。


「愛莉?」


空音が恐る恐る目を開ける。


「空音はここで待ってて」


あたしはそう言うと、辻本先生の後を追いかけて体育館の外へ出た。


男子トイレのドアが開いている。


その中を覗き込んだ瞬間、仰向けで目を見開いている男子生徒と視線がぶつかった。


その喉は大きく切られていて、手には鏡の破片が握りしめられている。


見ると、男子トイレの鏡は2つ割れている状態だった。


1つはきっと、前回割れた物だろう。


そしてもう1つは、今割れたばかりの鏡……。


「なんで、こんなことを……」


辻本先生が悔しそうに呟いた。


男子生徒がすでに絶命していることは、見ただけでわかったのだった。
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