感染学校~死のウイルス~
「え? 2人ともいないのか?」


辻本先生が周囲を見回す。


確かに体育館内に2人の姿はないようだ。


トイレかな?


そう思ったが、昨日の田村先輩の様子を思い出すと少しも動けなさそうだった。


でも、もしかしたら薬がきいたのかもしれない。


しかし、2人がいないと聞いた瞬間、森本先生がサッと青ざめたのだ。


「もしかして、そんな……」


そんな独り言をつぶやいている。


「何か心当たりがあるんですか?」


田井先生が森本先生の異変に気が付いてそう言った。


森本先生はその質問に一瞬体を硬直させた。


なにか知っているような様子だ。


「森本先生?」


辻本先生が森本先生へと視線をうつす。


森本先生は青ざめた表情のままうつむいた。


「……実は……田村君の事が気になって昨日の夜時々様子をみていたんですが……」


森本先生の弱弱しい声が聞こえて来る。
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