感染学校~死のウイルス~
あたしは嫌な予感が胸によぎった。


「田村君……明け方から息をしていなくて……」


「なんだって!?」


辻本先生が大きな声を上げた。


「その時に、赤川さんと2人で応急処置をしたんです。でも、ダメで……。これ以上混乱させちゃいけないと思って、朝になってからみんなに事情を説明するつもりでした」


森本先生が申し訳なさそうにそう言った。


あたしは信じられなくて、空音と目を見交わせた。


田村先輩が明け方にはもう亡くなっていたなんて、思いもしなかった。


「田村君の遺体は?」


田井先生がそう聞いた。


「体育館の隅に移動させてあげたんですが……」


そう言い、森本先生は体育館の入り口付近へと視線をやる。


しかし、そこには誰もいなかった。


「まさか赤川さんが田村君の遺体を移動させたのか?」


辻本先生は首を傾げながらそう言った。


女子生徒が男子生徒の死体を運ぶ。


不可能ではないかもしれないが、重労働だ。
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