感染学校~死のウイルス~
何年生の人かわからないけれど、これから電車で家に帰るんだろうか?


改札口まではあと数メートルほどだけれど、その距離を歩けるかどうかも怪しそうだ。


「あの……大丈夫ですか?」


通り過ぎようとしたとき、空音が立ち止まってそう聞いていた。


やっぱり声かけるんだ。


そう思い、あたしも立ち止まった。


「大丈夫です……少し気分が悪いだけだから……」


彼女はそう言い、無理やり笑顔を浮かべた。


「もしかして、保健室にいた人じゃないですか?」


その顔には見覚えがあり、あたしはそう聞いた。


全校集会の時気分が悪くなったクラスメートを保健室まで迎えに行った。


その時にいた人だったのだ。


彼女は少し驚いたように目を丸くして、「そうです」と、頷いた。


やっぱり、そうだったんだ。


まだ全然体調は戻っていなさそうだ。


「早退しなかったんですか?」


「一旦調子が戻ってたから授業には出たんです。でも、帰ろうと思ったら急に気分が悪くなって……」


そう言い、彼女は口元を押さえた。
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