感染学校~死のウイルス~
涙が込み上げてくるのを必死で押し込めて、階段を駆け下りる。


そのまま渡り廊下を走り本館へと向かった。


ここは見慣れた学校のハズなのに、全く違う雰囲気だ。


いろんな生徒が感染して、いろんな生徒が死んでいった。


その現実が今までの学校生活の色をも、真っ黒に塗りつぶしていく。


あたしは真っ直ぐ3階へと向かった。


1年B組の教室が見えると自然と歩調は速くなった。


その教室の中に誰かいるかなんてわからないのに、自分の教室に入れば生活が元に戻るんじゃないかと、そんな期待を抱いていた。


教室の前まできて、ドアに手をかける。


「おはよう!!」


そんな声をかけて一気にドアを開いた……。


ガランとした教室がその中に存在していた。


あたしは浮かべていた笑顔をゆっくりと消していく。


みんながいるわけがない。


学校は閉鎖され、誰も助けに来ていないのだから。


あたしは誰もいない教室に足を踏み入れた。
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