感染学校~死のウイルス~
身体的ストレスはそう簡単にはぬぐいきれないのだろう。


もしかしたら、渋田さんと同じD組の生徒なのかもしれない。


制服も鞄もピカピカだし、さっきから敬語で返してくれるし。


「ここで1人でいるのも心細いよね。一緒にいてあげようか」


空音があたしへ霧向けてそう聞いていた。


「もちろん、いいよ」


あたしは頷く。


「そんな、いいですよ!」


女子生徒は慌ててそう言うが、立ち上がる元気もなさそうなのにほっておくわけにはいかない。


ベンチに寝かせてあげようかとも思ったけれど、無理に移動して体調が悪化しても大変だ。


あたしと空音は彼女を挟むようにして腰を下ろした。


傍から見たらタムロしているように見えるかもしれないけれど、警備員に声をかけられたら事情を説明すればいい。


顔色の悪い女子高生が1人でこんな所にいるよりはマシだろう。


「ごめんなさい、ありがとう」


彼女は弱弱しい声でそう言ったのだった。
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