感染学校~死のウイルス~
「ごめん、辻本先生じゃなくて」


岡崎君は暗い声でそう言った。


「ご、ごめん、思わず辻本先生の名前を呼んじゃっただけだから」


あたしは慌ててそう言って席を立った。


岡崎君が一歩近づくにつれて暗い雰囲気にのまれそうな気がして、後退していく。


「中山さんは、辻本先生のことが好きなんだろう?」


そう聞かれて、一瞬にして顔が熱くなる。


きっと、今のあたしは真っ赤になっているんだろう。


「やっぱり、そうなんだね」


あたしの反応を見た岡崎君はそう言った。


「な……んで?」


「見ていればわかるよ」


「そ、そう? そんなに、わかりやすかった?」


ジリジリと距離を詰められるので、あたしはついに教室の後ろまで下がってきてしまった。


「いや、普通はわからなかったと思う。俺は、ずっと中山さんを見てたから気が付いたんだ」


その言葉の意味を理解するのに少しだけ時間がかかった。


あたしは目を丸くして岡崎君を見た。


「あたしの事が……好きなの?」
< 180 / 284 >

この作品をシェア

pagetop