感染学校~死のウイルス~
逃げなきゃいけないと思うのに、いくら頑張っても手をふりほどくことができない。


「俺と付き合ってよ……」


不意に、岡崎君が顔を近づけて来た。


息が顔にかかえるくらい接近されて、顔を逸らせた。


体中から嫌な汗が噴き出して来るのを感じる。


「やめて!!」


そう言い、大きな声で叫び声を上げていた。


普段ならこれだけ叫べば誰かに聞こえていたはずだ。


だけど、今は校内のどこに生徒がいるかもわからない。


体育館まではこの声は届かない。


窓はシャッターで締め切られて、外からこの教室の中も見えないような状況だ。


岡崎君はあたしが叫ぶのを楽しげに笑って見ている。


誰もこない……。


その現実が寒気となって背筋を撫でた。


「どうせみんなここで死ぬんだ。それなら俺と一緒にいようよ」


岡崎君の手があたしの肩を抱く。
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