感染学校~死のウイルス~
「今、辻本先生が見に行ってるの」


「辻本先生1人で?」


そう聞くと、空音は少し悲しそうな表情を浮かべて「うん」と、頷いた。


「そんなの危ないじゃん!」


咄嗟に立ち上がろうとしたところ、空音に止められてしまった。


「辻本先生ね、もう生徒を危険な目に合わせる事はできないって言って、1人で行ったんだよ」


「でも……!」


「今愛莉が外へ出て何かに巻き込まれたら、かわいそうなのは辻本先生だよ?」


そう言われると、返す言葉がなかった。


あたしはジッと体育館のドアを見つめる。


「愛莉のバッドは辻本先生に渡しておいたから、きっと大丈夫だよ」


そう言われて枕元を確認すると、たしかにバッドはなくなっていた。


それを見てホッと胸をなで下ろす。


5月15日。


学校に監禁されて3日目の麻は、生徒の悲鳴によって始まった。
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