感染学校~死のウイルス~
☆☆☆

「ちょっと変な子だったね」


昼休み、あたしは空音へ向けてそう言った。


「昨日助けたあの子?」


「うん。お礼くらいあってもいいと思うけど」


あたしは不服さを隠そうともせずにそう言った。


挨拶と短い会話はあったけれど、お礼はなかった。


しかも彼女が言っていたのは『わかった』とかなんとか、あたしにはよくわからない言葉だった。


「まぁね。でもあたしたちが助けたくて助けたんだし、いいじゃん」


空音は特に気にしている様子もない。


それはそうかもしれないけれど、あたしは空音ほど簡単に割り切ることはできなかった。


せめて名前くらい知りたかったな。


友達になりたいわけじゃないけれど、これも1つの縁だと思っていた。


「それより、お腹すいちゃった早く食堂に行こうよ」


空音に促されてあたしは鞄の中からお弁当を取り出して立ち上がった。


あたしはいつもお弁当だけれど、空音はいつも食堂だ。


だからあたしたちはいつも食堂でお弁当を食べていた。
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