感染学校~死のウイルス~
「シャワー浴びたら?」


空音にそう言われてあたしは素直に頷いた。


この時間にシャワーを浴びている生徒はいないから、おかまいなく使わせてもらう事にした。


シャワー室は倉庫の隣にあった。


中はコンクリートで、カーテンで仕切られただけのシャワースペースが3つあった。


狭い脱衣所で手早く服を脱ぎ、冷たいシャワーを浴びる。


少し寒さを感じたけれど、スッと目が覚めていく感覚が心地いい。


小さくなってきた石鹸で体を洗うと、ようやく生き返った気分になった。


体育館にシャワールームがなければこうして清潔を保つこともできなかったんだ。


そう思うと、ありがたい気持ちになった。


サッパリして出て来ると、空音があたしの分の水を差し出してくれた。


飲んでみると口の中に甘味が広がる。


今日は砂糖を入れてくれたようだ。


「朝は糖分を取らなきゃね」


空音にそう言われて、あたしは笑った。


こんなときでもそんなことを言える空音が少し羨ましく感じる。


タオルで髪の毛を乾かしていると、シャワー室の横に人影が見えて視線をうつした。


そこには細い階段が上へとついていて、カーテンを外した2階へと通じている。


そこから転げるように1人の男子生徒が下りてきたのだ。


あたしは驚き、咄嗟に飛びのいていた。
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