感染学校~死のウイルス~
あたしは体育館にいる面々を見て回った。


途中から1人いなくなったら気が付くはずだ。


ここから逃げ出した人以外は全員ちゃんとそろっているように見える。


「どこだ」


声を聞きつけた辻本先生が大股に歩いて来て、男子生徒にそう聞いた。


「2階の放送席です……」


男子生徒が青ざめた顔のままそう答えた。


あたしの視線は自然と2階の放送席に向けられた。


小さな4畳半くらいの広さで、ガラス張りになっているそこを見つめる。


カーテンを外した時は放送室の中まで確認をしていない。


その死体が一体いつからあったのか、もしかして最初からこの中にあったものじゃないのか。


そんな不安が一瞬にして渦巻はじめる。


「一緒に確認します」


辻本先生について来たのは森本先生だった。


あたしも一緒に。


そう名乗り出ようかと思ったが、もし死体が自殺で、ウイルスに感染していたらと考えるとそれもできなかった。


辻本先生は生徒たちを放送室から遠ざけたのち、2階へと上がって行ったのだった……。
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